大学院指導に関して (Guidance for Graduate Advising)

Undergraduate and Graduate, , 2024

Introduction

Last update: 2024-05-22

Notice for English speakers: The guidance is currently available only in Japanese. If you wish to read the English version, please contact me via email: yuta-toyama”at”waseda.jp.

2024年度より早稲田大学大学院経済学研究科での研究指導を担当します。私の研究指導を受けることを希望される方は、以下の文章を必ず読んでください。不明点・相談点などについてはお気軽にお問い合わせください。

注意: 2024年秋学期から修士指導を受けるにあたっては、事前の面談を必須とします。面談なしの申請については、内容の如何に関わらず全てお断りさせて頂きます。また、修士指導申請にあたっての提出書類作成の留意事項について以下に記しておりますので、ご確認ください。

修士課程での指導概要

修士課程においては、経済学における広範な基礎知識を身につけるとともに、産業組織論・応用ミクロ経済学の実証研究を遂行することができるために必要な知識・技術を身に着けることを目標とします。具体的には以下の3点をゴールとします。

  • ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学の大学院レベルコースワークを通じた基礎知識の習得
  • 因果推論(リサーチデザインベースの実証研究)及び構造推定アプローチを用いた論文の読解能力及びプログラミングによる実装スキルの習得
  • マイクロデータを用いた学術論文の執筆

指導可能分野については以下のとおりです。

  • 修士課程:産業組織及び応用ミクロ経済学におけるマイクロデータを用いた実証研究
  • 博士課程:産業組織論に強く関連する応用ミクロ経済学の実証研究

指導原則

大学院での学習・研究=仕事

経済学における体系的な知識を身につけ、論文を執筆することが、大学院におけるあなたの「仕事」です。大学院という比較的小さなコミュニティにおいては、一人ひとりの仕事が他の人(学生・教員)に非常に大きな外部性(正・負両方の意味で)をもたらしえます。また、大学院生として携わるTA・RAは、金銭が介在する「業務」です。

基礎体力としての体系的な知識・能力の習得

研究に取り組むにあたっては、ミクロ経済学、計量経済学は当然のこととして、マクロ経済学についても大学院コースワークレベルの学習を行ってもらいます。体系的な知識を身につけることは、中長期にわたって学術的知見を活かした仕事をする上で欠かせないものです。特に学術的知見は日進月歩でアップデートされるため、それに追いつくには大学院時代において足腰を強く鍛えておく必要があります。

指導方法

修士1年2学期目から研究指導が始まりますが、修士1年の間ではミクロ・マクロ・計量経済学のコースワークに集中してもらいます。修士1年の間の研究指導の時間においては、応用よりの計量経済学の学習や論文の輪読などを行います。

修士2年から研究指導、特に修士論文に関する指導を開始します。個々の進捗・能力に応じて、指導方法については適宜調整します。しかし、以下で述べる研究指導要件を満たさない学生については、指導を行いません。

研究指導要件

  1. 以下の授業を修士1年生の間に必ず履修し、単位取得すること。
    • Microeconomics I, Microeconomics III, Game Theory II (or Microeconomics II)
    • Macroeconomics III, Macroeconomics IV
    • Econometrics I, Econometrics II, Econometrics III
    • Mathematics for Economics III (Optimization Theory)
  2. 私が担当する Industrial Organization を2年生前期までに履修し単位取得すること。
  3. 科学計算プログラミングの基礎技術を取得すること。
  4. 修士1年後期から実証ミクロ経済学ワークショップへ毎回参加すること。

大学院入学前・入学直後に行うべき準備事項

  • 数学・統計学の知識:基本的な微分・積分・最適化ができることは大前提とします。それに上乗せとして、以下の教科書がおすすめです。
    • 岡田「経済学・経営学のための数学」:少し古いですが、線形代数&解析をコンパクトにカバーしています。コースワークには必要十分な数学の教科書かと思います。
    • 田中「計量経済学のための数学」:線形代数(と確率論+計量経済学少々)についていえば日本語だとベストに近い気がします。
    • 久保川「現代数理統計学の基礎」:確率論・数理統計学に良いです。(練習問題も多い)
    • Sundaram “A First Course in Optimization Theory” : 解析・線形代数・最適化含め広くカバーしています。Math campで教科書として指定されている海外Ph.D.プログラムもあります。
  • 産業組織論及び産業組織の実証分析についてある程度雰囲気を知っておいてください。学部の授業を履修されるのも良いでしょう。
    • 経済セミナー「進化するビジネスの実証分析 」
    • Cabral ‘Introduction to Industrial Organization’ (邦訳あり)
  • 科学計算言語によるプログラミングの基礎知識。
    • R、Python、Matlab、Juliaなどを勧めます。Stataでは不十分です。なお、私は主にR、ときどきMatlabを使っています。
  • 経済学・数学の基礎知識が不足していると感じる方は、大学院基礎科目を履修されると良いでしょう。

過去の学生指導など

過去に非公式に指導した大学院生、及び(元)大学院生との共著研究の例をいくつかあげます。

博士課程進学について

  • 博士課程進学については、上述した修士課程において学ぶべき基礎知識(コースワークなど)を確実に理解し、また修士論文執筆を通じて国際学術誌に公刊可能な研究を遂行可能であることを示した場合のみに引受を行います。また、博士課程における研究トピックは実証産業組織論に強く関連したものとします。

  • 外部からの博士課程進学については原則受け入れません。ただし、私がよく知っている推薦者から、上述した要件に足るだけの能力を具体的証拠とともに示して頂いた場合にのみ、受け入れの検討を行います。

【2024年5月22日更新】修士課程指導の申請について

申請の際に提出する文章には以下の点を盛り込むようにお願いします。

  1. 志望理由及び志望進路
  2. 研究計画

1の志望理由及び志望進路については短めで構いません。2の研究計画については、興味関心を持った、産業組織論及び応用ミクロ経済学の実証研究において取り組みたいリサーチクエスチョンを述べた上で、なぜその問に回答することが学術的・政策的に重要であるのか(モチベーション)、そしてどのようなアプローチ(手法・データ)で分析するかについて記入してください。

なお、2の研究計画作成については、以下の資料についても参考にされるとよいでしょう。